要介護5でも海外旅行へ 懸命なリハビリが奇跡を呼ぶ

72歳女性が要介護5になっても家族で海外旅行へ。確固たる目標のために頑張った人間は強いということが証明された例を紹介します。

ウィーン旅行を目標にリハビリに励む

病前、女性はピアノとバイオリンの音楽教室を自宅で主宰するなど音楽をこよなく愛する方でした。しかし、2013年2月に車の運転中に脳出血を起こし、命は助かったものの重い後遺症(左半身麻痺・高次機能障害)が残った。

リハビリ病院を退院し、在宅介護をするために介護認定を受けると【要介護5】の認定が下った。要介護5は、介護認定の中で一番重い【寝たきり状態】に区分されており、日常生活のことを自身だけでやることはほぼ不可能な状態だ。そういった状況からか、女性は娘に「私、もうバイオリンが弾けないかもしれない」と涙を流したという。そんな姿を見た娘は、女性の手を握りながら「元気になったらお母さんが行きたかったウィーンに行こうね」と励ました。

女性はそれ以来、平日はディサービスに行き、週1回の訪問リハビリを受けた。リハビリ内容は、街中で観光ができるよう標準型の車いすに座れるよう12時間ほど車いすに座って過ごせる訓練や、機内の狭いトイレで排泄ができるように手すりに頼らずトイレを使う訓練、車の乗り降りなどといったウィーン旅行を想定したリハビリが必死に行われた。

そして、ついには発病からおよそ3年後の2016年6月23日に念願のウィーン旅行(8日間)へ。さらに、帰国後、ピアノやバイオリンを右手で弾くようになり、最近ではパソコンで文章を打ち込むことができるまで回復したという。女性は「音楽家たるものは、ウィーンに行かずして死ぬわけにはいかない。車いすで暮らすのはしんどいが、新しいことにチャレンジするのは楽しい」と語った。