熊本地震後の孤独死問題 孤独死の大半が高齢者

今日で熊本地震の本震から3年になり、この地震で多くの人たちが住まいを失いました。現在、被災者のための災害公営住宅、いわゆる復興住宅の建設が各地で進む一方で、未だに1万6,000人を超える被災者が仮設住宅で暮らしているのが現状です。また、熊本県によりますと、仮設住宅で誰にも看取られず亡くなる「孤独死」が、この3年間だけで28人おり、その大半が高齢者です。県は今、孤独死を防ぐ取り組みが急務となっています。

◇ 住み慣れた地域から離れざるを得ない高齢者

2017年3月末に、熊本地震による仮設住宅での孤独死が初めて確認されました。これを受けて、県が16年に遡って調査した結果、「16年3人、17年13人、18年10人、19年2人」が確認されています。孤独死をした場所の内訳としては、「みなし仮設住宅:22人、建設型仮設:4人、市営住宅:2人」となっています。

孤独死の内訳で最多の「みなし仮設住宅」とは、自治体が民間アパートなどを借り上げて提供する仮設住宅を指します。ただ、住み慣れた地域から離れ、なじみのない人たちと暮らすことから、孤立化するケースが多いといわれており、みなし仮設住宅は、以前から被災者の生活実態が把握しづらいとの懸念が指摘されています。

◇ 他の巨大地震後も同様に・・・

1995年1月に起きた阪神淡路大震災で、14年までの20年間での孤独死は1,097人となっています。このうちの仮設住宅での孤独死が「年平均46.6人」に対して、被災者が移り住んだ復興住宅では「同57.6人」に増加しているのです。

東日本大震災でも11年3月から19年3月までで、復興住宅(3県:岩手・宮城・福島)で少なくとも55人の孤独死が確認されています。

こういった孤独死が起きる背景には、面識のない人同士が集まり、長く生活していることにあります。熊本県の仮設住宅で生活をする被災者の34%が高齢者世帯で、そのうち1人暮らしをしている高齢者は20%を占めます。また、その多くが復興住宅への入居が予定されており、阪神淡路大震災と同様の孤独死問題が懸念されています。

◇ 住民同士の声の掛け合いがカギ

熊本地震や東日本大震災の被災地では、自治体が社会福祉協議会などと連携し、高齢者世帯を中心に見回りや戸別訪問、交流サロンの開催などを行っています。高齢者世帯の孤独死を防いでいくためには、人と人とのつながりが重要となるため、それを自治体などが、どのようにアプローチをしていくかが今後の課題です。