茨城:高齢者虐待 被害者の42.1%が認知症高齢者

先月、内閣府が高齢者の虐待件数(17年度)を公表しましたが、茨城県でも高齢者の虐待件数(17年度)を明らかにしました。調査によると、家族や親族による虐待が274件(被害者:282人)、介護施設の職員による虐待は8施設で8件(被害者:12人)だったことが分かりました。これらの調査については、高齢者虐待防止法に基づき、茨城県の市町村が受けた相談や通報をまとめたものです。

◇ 被害者の42.1%が認知症高齢者

茨城県地域ケア推進課によると、家族や親族による虐待は前年度と比べて「虐待件数:13件(被害者:8人)」増加。介護職員による虐待については「虐待件数:5件(被害者:9人)」増加しました。さらに、被害者の42.1%、119人が認知症高齢者でした。

● 虐待の種別
・身体的虐待・・・76.2%
・心理的虐待・・・37.2%
・経済的虐待・・・16%
・ネグレクト(介護放棄・放任)・・・12.8%

被害者の男女別では男性が50人、女性が232人でした。また、被害者のうち要介護者が115人と全体の40.8%を占め、「※認知症日常生活自立度(Ⅱ)」以上は93人に上りました。加害者については、息子が43.9%、夫が22.3%、娘が10.5%と息子が最も多かったことが分かりました。

※認知症日常生活自立度とは:「Ⅰ、Ⅱ(a・b)、Ⅲ(a・b)Ⅳ、M」と各症状に分けられ、ⅠからMに行くほど日常生活を過ごす上で「介護が必要になる状況・重い症状」を表しています。上記のⅡの状態では「日常生活に支障を来すような症状、行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる」という状態です。

◇ 介護職員からは「身体的・心理的」虐待が多い

被害者は60~90代の女性10人と男性2人で、いずれも介護職員から強い力で叩かれたり、暴言を浴びせられるといった「身体的虐待・心理的虐待」でした。また、虐待による死者は報告されていません。

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