高齢者の犬の散歩は「骨折のリスク」を上げる 米調査

医学誌JAMAで、高齢者の犬の散歩は、骨折のリスクを上げるという調査結果を公表しました。

◇ 13年間、犬の散歩と骨折の関係性を追跡調査

今回、高齢者が犬の散歩を行うリスクについて、ペンシルベニア大学の研究チームは、米消費者製品安全委員会の統計を基に、「2004~17年」までの間に救急外来で病院に受診した高齢者の患者について調査を行いました。

調査結果は、65歳以上の高齢者患者が犬の散歩に関連して骨折した人数が「3万2,000人」を超えることが判明。また、2004年の年間患者が1,671人だったのに対して、17年には4,396人と倍以上に増えていたことも分かりました。

◇ 高齢者は、骨密度が低下し転びやすくなっている

高齢者は、加齢に伴い骨密度の低下や、下肢筋力などの低下でバランスを崩して転倒し骨折する傾向にあります。しかし、運動不足の改善を目的に、高齢者が犬を飼う動機になっているのも事実だといいます。

さらに、女性の骨折患者が多いことも分かっており、今回の調査では、骨折した患者の78.6%が女性でした。そのため、研究チームでは、「犬を飼おうと考えている高齢者、特に高齢女性は、このリスクを認識する必要がある」と研究チームは指摘しています。
※救急外来を受診しなかった患者、骨折をしなかった患者含まれていない。

◇ 一度でも骨折すると今後の生活に支障が出る

特に1人暮らしの高齢者や骨密度が低下している高齢者については、犬の散歩に対するリスクを検討する必要性があると指摘。それは、一度でも転倒などで骨折をすれば、腰部骨折で歩行が困難になったり、生涯にわたる合併症を負うこともあったりと、今後の生活に支障がでることがあると警鐘を鳴らしています。

犬の散歩中のケガを防ぐためには、小型犬を飼うなどし引っ張られて転倒するのを防止する対策などが必要となるでしょう。