【厚労省】高齢者の健康状態をデータ分析 法改正へ

厚生労働省は、来年の通常国会までに、市町村が個人の「医療」と「介護」データを一括分析できるよう「高齢者医療確保法」などの関連法案の改正案を提出する方針を固めました。

◇ データ分析を容易にし、高齢者が健康に過ごせる年齢を延ばす狙い

現在、75歳以上の高齢者が医療機関を受診した際の情報については、後期高齢者医療制度を運営する「広域連合」が保有し、介護保険サービスの利用に関する情報については「市町村」が保有しています。現在の法律では、各機関がそれぞれ情報を保有し管理しているため、個人情報の活用がしにくい状況です。

そのため、75歳以上の高齢者の医療と介護のデータを一括分析ができるようになれば、市町村職員や保健師らが双方のデータを活用し、一人一人の高齢者の健康状態の改善に繋がると考えています。

また、後期高齢者の健康事業のあり方については、厚生労働省の有識者会議で検討されてきており、11月22日に行われる有識者会議で、データの一括分析を盛り込んだ報告書案が了承される見通しとなっています。

◇ 地域全体で高齢者を支えていくシステムの構築

上述した報告書案に併せて、広域連合が実施している健診などを市町村が担い、介護予防事業と一体的に実施することを盛り込む考えです。

また、市町村は新たに、医療と介護のデータを基に高齢者の生活習慣や健康状態について専門見地から分析し、高齢者に病院受診の必要性の説明、勧めるなどをして重症化を未然に防いだり、運動不足から来る疾病などを予防するために体を動かす機会の提供など、高齢者の通いの場への参加を促していく。さらに、地域に保健師や管理栄養士、一度は現場を退いた看護師らを配置し、高齢者の生活全般を支援していく考えです。