熊本 介護施設で入所者11人が死亡 4か月常勤医が不在

熊本県八代市にある介護老人保健施設(以下、老健)「アメニティゆうりん」で、昨年2~5月の間に入所者11人が亡くなっており、この間常勤医が不在でした。常勤医が不在について、県から勧告を受けていました。

◇ 常勤医は昨年2月から休職

常勤医不在で県から勧告を受けていたのは、熊本県八代市の老健「アメニティゆうりん(医療法人社団「優林会」運営)」(定員85人)で、理事長は、県医師会の「林 邦雄」医師(76)が務めています。

老健では、要介護者が自宅での生活に戻れるよう介護や医療、リハビリを行う施設です。入所者100人につき常勤換算で1人以上は、必ず常勤医を配置することが義務付けられています。

しかし、この老健では常勤医が昨年2月から休職しており、県は4月の監査で早急に常勤医を配置するよう勧告をしていました。林医師は、4月中旬~5月中旬の耳鼻科医を後任としましたが、県は5月に再監査を実施し勤務実態がないと判断し「2~5月は常勤医が不在」として介護報酬の減算指導を行いました。また、耳鼻科医も週数日、午前の1時間ほど施設にいただけで、入所者の診察をしていなかったということです。

◇ 2月~5月の間に11人が亡くなる

この老健では、昨年2~5月の間に、86歳~100歳の入所者11人が亡くなっています。月別だと、「2月に1人」「3月に3人」「4月に5人」「5月に2人」で、そのうち8人は「老衰死」と林医師は診断しています。また、2018年での死亡者数は22人で、常勤医がいた17年の1年間は11人でした。

4カ月間で入所者11人が死亡したことについて、林医師は「11人は多いが、看取りの人も含まれている」と釈明。常勤医がいなかった点は「探しても見つからなかった。いた方がいいが(林医師が)外にいても携帯電話で十分対応できた」と話しています。

しかし、施設関係者は「容体の急変に直ぐ駆けつけられないことがあった」と証言しており、林医師が出張や会議に出ていた時など職員が電話をしても繋がらないこともあり、また、施設に駆けつけるのが急変から半日後ということもあったということです。